職場のルールや決まり事を明らかにする意味

 

 会社の従業員数が30人を超えるようになると、組織的な動きの出来る会社と人海戦術で動いている会社の差が出てきます。会社のシステム、仕組みがシッカリしている会社と家業的経営の延長線で仕事をしている会社の実力差とも言えます。

 組織力のある会社は、現場や各部署で基本的なやるべき仕事の内容や手順がハッキリしています。仕事としてやらなければいないこと、その内容が「職場のルールや決まり事」として明らかになっています。

 具体的には「業務マニュアル」「作業手順書」や「チェックリスト」といった文書を通して、仕事のレベルの維持・管理が実施されています。

 

よく考えてみると、これらの文書は、二つの大きな役割を果たしています。ひとつ目は、仕事の担当者が誰であろうと、仕事のやり方やその内容を各職場内で共有化できる仕組みになっていることです。

 「業務マニュアル」や「作業手順書」は、やるべき仕事の内容、その手順、注意事項等、メンバーに正しいスキルを身につけてもらうための手段です。このような具体的な指導ツールがあるから、多少の人の入れ替わりがあっても、人材が確保できます。仕事のノウハウやスキルを正しく伝えるための決まり事であると共に、職場内で仕事のやり方やその内容を共有化し、同じ内容、同じレベルの仕事が出来るようにする仕組みなのです。

 

二つ目は、それらが「やったやらない。できたできない」という仕事の評価基準の役割を果たす仕組みになっていることです。いくら、仕事としてやらなければならないことが明らかであっても、それが徹底できなければ意味がありません。そのためには、一つ一つの仕事の結果に「やっている、やっていない。やった、やらない」「出来ている、できていない。できた、できない」といったけじめを付けることが大切です。

皆さん、学生時代を思い出してください。勉強するのは、ある意味、試験があるからです。もし試験が無いなら、果たして学生さんは勉強するでしょうか。会社の仕事にも同じ事が当てはまります。会社の場合、それが仕事になっただけのことです。自分がやったこと(仕事)を誰かにチェックされると思うから、シッカリやろうとする。手が抜けないのです。

  仕事としてやるべき事。その基本的な内容や手順を守る。それを、当たり前のこととしてキープするには、その結果を客観的にチェックし、評価する仕組みが欠かせません。

  

 一方、仕事が担当者任せで動いているような会社では、個人のノウハウやスキルに頼っているので、どうしても仕事のレベルが担当者次第で左右されてしまいます。また、現場のキーマンが辞めてしまうと、仕事の内容にバラツキが出たり、レベルが下がってしまいます。仕事の引継ぎが上手くいきません。 他にも、部下指導をOJTだけに頼っていることで、見習うべきではない上司の悪しき習慣や癖を身につけてしまうことも有ります。

 

小さな会社の社長さんは「うちは、そういう会社ではないから。そんな大袈裟なことはいらない。」と言います。それと同時に「現場のメンバーや管理者に良い人材がいない。一人一人の頑張りが足りない」とも思っています。しかし、そこに「仕事の品質・レベルを維持・管理する」といった発想が会社(経営)にありません。それでは、この先、会社の成長は望めません。

  力のある会社は、仕事がひとつの仕組み、会社の決まり事として動いているので、担当者が交代しても対応できます。仕事のシビアさを徹底できる力がある。その強さこそが組織力の源ではないでしょうか。

 この辺りの力関係が、ある意味、中小企業の最大の弱点のひとつとも言えるでしょう。だからこそ、社内的に各部署の仕事のノウハウやスキルを固めて「仕事の標準化」を進めるべきだと思います。

 

  職場のルールや決まり事は、職場の業務レベルの維持・向上のために作るものです。上司が言うだけでは、下に伝わらない事は数多くあります。口頭での指示や注意だけでは仕事のノウハウやスキルを職場内への徹底することは難しいと思います。だからこそ、文書である「マニュアル」や「チェックリスト」が必要なのです。現場の実行力を高める。組織力を高め、強い現場にするためのツールとして「職場のルール・決まり事」を明らかにすることも一考です。

 

( 平成291114日 )       Ⓒ 公認会計士 井出事務所

 

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         仕事を担当者任せにしている限り、会社は成長しない

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