職場の問題点を共有する難しさ

 

 

 先回のコラムでは、まとまりのある職場。チームプレイで仕事が出来る職場をつくるには、定期的に「現状の職場全体の仕事のやり方の良し悪し」について皆で考え、話し合う時間や場を設ける。そのようなご提案をさせていただきました。では、そういったミーティングの時間を作れば、確実にコミュニケーションの良い職場になるのかというと、必ずしもそういう訳ではありません。

 

 実際、こういうテーマで会議を何度もしているが、一向に職場内のコミュニケーションは良くならない。相変わらず、まとまりに欠け、チームワーク、チームプレイといった一体感のある動きは見られない。皆がバラバラに動いている。メンバーの意識が何も変わらない。そういう声も沢山あろうかと思います。残念なことですが、そういう結果になってしまう方が、よくある現実だと思います。

  

 職場内のコミュニケーションに関わる問題は、メンバー一人一人の仕事に対する意識が変わらなければ、実際の動きにはなりません。つまり、ただ話し合いをしただけでは、実際の仕事のやり方は何も変わらないのです。

 何故ならば、ほとんどの場合、そういった場がメンバーにとって、愚痴の言い合いで終わってしまうことが多いからです。お互いに自身の思う問題を話して、その場限りのガス抜きになってしまうだけです。例え、その時に、交わした話を覚えていたとしても、全てがその時の過去の話で終わってしまいます。

 

そこで、立ちはだかるのが「職場(全員)として現状の問題点を共有する」という難問です。

 

 その一例が、こういうテーマで話し合いをすると、必ずといって良いほど出てくる典型的な結論です。

 

それは「皆がひとりひとり、仕事への意識をもっと高かめる。これまで以上に注意して仕事をする」という尤もらしい解決策です。一見すると、正しい答えのように思える言葉ですが、極めて抽象的で、担当者任せの解決策でしかありません。そこにメンバー間の協力体制。職場の総合力」という視点が無いからです。

 そもそも、それが出来ていないから、わざわざ話し合いの場を設けているのです。緊張感のある仕事ができる人、力のある人ばかりが揃っている職場ならば、敢えて、このようなミーティングの時間を設ける必要はないでしょう。 

 

この話し合いの目的を振り返ってみると「どうすれば、お互いに協力して動くような仕事ができるようになるのか。どういう(仕事の)やり方に変えていけば、チーム力を発揮できる強い職場になるのか」というテーマだったはずです。まとまりのある職場。気持ちを一つにして動けるコミュニケーションの良い現場にする。そのための解決策を探る場であったはずです。

  ところが「何のための話し合いであったか」という本来の目的を見失ってしまうと、先ほどのようなメンバー任せの安易な解決策で納得してしまいがちです。

 

その結果、折角の話合いの場が「皆で、職場の現状の問題点を共有し、解決する」という具体的な動きにつながっていきません。そこでの内容を、どうまとめ、どのように仕事のやり方を変えていくのか。強い現場にすること。それこそが、最も重要な話合いの目的だったはずです。

  

自分にできること(仕事)を増やすこと。仕事のレベルを上げる。幅広い仕事ができる。これまで出来なかったことが出来るようになる。そうなってこそ成長の意味があります。それは人も組織も変わりありません。

今以上にレベルの高い仕事の出来る職場にすること。長い眼で見て、成長力のある現場を創ること。それこそが会社が正社員一人一人に期待する役割に他なりません。だからこそ「現状の職場全体の仕事のやり方の良し悪し」について自身の考えを持ち、メンバー皆で議論ことが大切なのです。

  

「自身の担当業務。目先の仕事。自分の仕事だけやっていれば良い」という考え方は、派遣なり、非正規雇用の人なら、仕方ない発想なのかもしれません。しかし、もし、その立場が正社員の方ならば困ったことです。

  自身が会社の一社員であること。その会社の職場の一員であること。そのことを建前でわかっていても、本音としてあるのは「自分に出来ること。わかることだけをやっていれば良い」という発想です。

  周りの状況やその動きに関心の薄いメンバー、自分のこと、目先のことしか頭にない担当者が多い。だから、自分のやり方・自分のスタイル・自分のペースで仕事を進めることを最優先します。その事実がまとまりのない職場、コミュニケーションの悪い職場になっている原因ではないでしょうか。

 職場の問題点を理解するには、まず正社員の役割責任について振り返る必要があるかもしれません。

  

( 平成30226日 )        Ⓒ 公認会計士 井出事務所

 

 

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