職場の問題解決(解決策の見つけ方 その2)

「問題の解決の仕方、その方法がわからない」あるいは「色々と頑張ってきたが上手く行かない」といった声を耳にします。そこで「どのようにして、解決策を導き出すのか」解決策の探り方を、先回の印刷業の製造現場での改善事例をもとに検討してみたいと思います。 

 職場の問題解決には、現状の仕事のやり方に関わる実態、その事実関係を皆でお互いに確認することが重要です。何故ならば、職場の状況、その内容がハッキリしているようで意外とハッキリしてないことが多いからです。

誰もが周囲のことを見ているようで見ていない。わかったつもりになっているだけで、実際の現実をよくわかっていない。このような状況のままで対策を考えてみても、効果的な解決策が出てくる訳はありません。

要は「現状認識(分析)「問題の共有化(共通認識)」問題解決の原点になると言うことです。そこで、この印刷会社では「現状の仕事のやり方の良し悪し」について、職場のメンバー間で話し合う場を、何回か設けました。以下は、その内容です。

 

 現状確認(第一回会合のまとめ)

  ① 清掃、版下替え等段取り作業の方法が各担当でマチマチ

⇒ 段取り作業の不手際・時間のバラつき

② 各担当のマシン(調整)経験の格差

⇒ 刷りムラのロス、ミス(用紙)量の差

⇒ 印刷機の調整時間バラツキ

⇒ 担当者によって仕事量(業務負担)に差がある

③ 特定メンバーへの業務の集中、仕事量(業務負担)のバラツキ

    ⇒ 職場全体として作業効率が悪い。

 第一回会合は、各自の仕事のやり方の現状認識、意見交換の時間で終わってしまった。総論的な話だけで、細かな点(仕事のやり方・進め方・その注意点 等)についてもっと話し合うべきとの意見があり、できるだけ速いタイミングで、引き続き第二会合を持つことにした。

 

 現状確認(第二回会合のまとめ)

① 目先の仕事最優先

 ⇒ 各マシンの癖があり、忙しい中で担当替えをすると、かえって

   作業効率が低下する

② 担当者の技術力の格差

 ⇒  段取り作業の手際の良し悪しがある。各自が自分のやり方、マイ

  ペースでやっている。

 ⇒ 刷りムラを減らすための調整ポイントが何点かある。その優先順位

     が各マシンで、微妙に異なる。それが、マシンの調整技術にレベルの

   差になっている。

 * 紙質、要求解像度、印刷部数等の差異によって回転スピード、圧力等

      を調整する必要がある。そのデータの有無、データの項目、数値等

      の内容が各自マチマチ。

 ⇒ これまでの技術教育、実務訓練が不備。

 ③ 業務効率の悪さが、不要な外注につながり、それがコストアップ

    になっている

  ⇒ 特定メンバーへの業務の集中、仕事量(業務負担)のバラツキ

  ⇒ 不要な外注と遊休マシン(時間)の発生  

  

 第二回会合は、前回の内容を踏まえ、もっと細かな事のやり方や進め方、その際の注意点 等について各自の仕事のやり方の現状を確認した。

 段取り、マシン調節の早い遅い、巧い下手に経験の差がある。仕事のできる人ほど細かな処まで注意をして仕事をしている。それがちょっとしたスキルやノウハウの違いになって現れ、個人の技術力の差になっている。各人のやり方に一長一短があり、その良し悪しについて改めて見直すべき点が少なからずあることに気付きました。

言い換えると、一人一人が注意してやっていること、気をつけていること、それらが仕事のノウハウ、作業スキルそのものに直結していることがわかりました

そこで、次回までに、段取り作業とマシン調節に関わる注意事項を、各自洗い出し、それをまとめてくることにしました。個々の作業スキルがバラバラのままでは、いつまでたっても完成度の高いノウハウにはなりません。

ある人の足りないスキルを他の人のスキルでカバーする。あるメンバーが知らなかったノウハウをできる人のノウハウでできるようにする。

このように皆のノウハウを持ち寄って、それらを整理し、まとめることで、職場全体としての共有ノウハウにすることにしたのです。

 

このように考えてみると「問題解決の方法」を見つける。その最も基本的な考え方は、一人一人のノウハウやバラバラになっているスキルを結集することだと思います。

 「三人寄れば文殊の知恵」例えの通り、各人の作業ノウハウを上手く組み合わせて、職場(会社)として完成されたノウハウにする。
 それが、原則的な「職場の問題解決(業務改善)の方法だと思います。
( 平成26321日 )         ©公認会計士 井出事務所

 

► 関連項目: 職場の問題解決(解決策の見つけ方 その3)

        反省材料を拾う改革を進める共通認識

               職場の現状分析のポイント