自部署の課題(チャレンジ・テーマ)が見えてこない

 

自部署の問題点。つまり良くない処や改めるべきことは良くわかる。

ところが、将来に向けての「課題」となる職場のチャレンジテーマが見えてこない。「この先、何をすれば良いのか。何をどう変えればよいのか」そのイメージが浮かばない。来期のテーマ設定に際し、その内容が見えてこないという上長の方がいます。

もしくは、経営が「これからはこういうやり方に変える」と指示してくれたら直ぐに変えるのに。「そうならそうと早く言ってくれれば良かったのに」という現場リーダーもいるかもしれません。それは、フォロワーの発想、一担当者の思いでしかありません。

 そもそも、今の望ましくない状況を良い方向に変える。これまで出来なかったこと(仕事)をできるようにするのが部長さんや課長さんの役割です。そこにリーダーの(存在)価値があります。

上の指示を待って動くようでは、リーダーとしての役割を果たしているとはいえないでしょう。数年前に、名ばかり管理者と言う言葉が話題になりました。その時に使われていた意味はとはちょっと異なりますが、肩書きや役職上の名称だけの上長という意味では同じです。

 

何故、自部署の課題が見えないのでしょうか。その理由を彼らに訊いてみると、その問いかけの意味さえ理解できない人も多くいます。そういう人達にはチャレンジ・テーマということ自体がピンとこないのかもしれません。少なくとも、皆さん毎日一所懸命仕事をしていると思っているからです。

「目先の仕事で毎日手一杯。将来への課題。そのような、そんな先のことを考える時間はありません」と彼らは口にします。でも良く考えれば暇な人など一人もいないのです。皆、忙しいのです。余裕が無いのではなく、もしかすると考える時間をつくろうとしないからかもしれません。

「課題がわからない。チャレンジ・テーマが見えない」などと言い訳をしている間にも業界のトップ・ランナーは二歩も三歩も先を進んでいます。日の仕事に忙殺されていると、いつの間にか周りの状況に飲み込まれてしまいます。

 

自部署の課題がパッと頭に浮かばない。もうひとつの理由は「忙しい。忙しい」と言いつつ、時代の流れ、即ち、お客様の変化に背を向けていないでしょうか。いくら頑張っていても “今、出来ることしかやろうとしない”“新しいことにチャレンジしない”という仕事のスタンスで仕事をしていると、新しいやり方に眼が向きません。

いつまたっても、仕事のやり方がワンパターンのままでは、次第にビジネスで遅れをとるようになってしまいます。周りのビジネス環境は刻一刻と変わっています。一つ覚えのやり方だけでは、最早通用しない時代です。その現実から眼を離してはいけないと思います。

 

このように考えてみると、進路のイメージが湧かない理由のひとつは、情報に対する感度が低いからだと思います。自業界の流れや他社の動きに無関心等、情報量が絶対的に不足しています。だから「課題」が見えてこないのです。

私の経験値でいうと、業績の良い会社ほど業界のトレンド・他社の動きに敏感です。その小さな変化を見逃しません。周囲の動きや変化が眼に映るようになると“これまで良し”としていたことでも、通用しない現実に気付くものです。 

ビジネスの情報感度が高い人は常にアンテナを張っています。他業界の成功事例からでも将来に向けてのヒントを掴み取ります。そうすれば、当社も「こんな仕事のやり方が出来るようになれば良い会社になれる」というあるべき姿のイメージが浮かんでくるものです

今は誰もが認める情報化社会です。情報化が進むということは情報格差が広がることを意味します。情報量の豊富な人とそうでない人。情報を活かせる人と棄ててしまう人。つまり、情報に疎い人は取り残されてしまうのが今のビジネス社会です。

 

今どき、ただ毎日必死になって頑張っているだけでは、マネージャー (管理者)としての役割は勤まりません。“いつも先のことを考えて仕事をする”“業界の動き・変化に敏感になる”など日々、頭を使って仕事をする感性がリーダーには求められます。

「将来に向けての課題が見えてこない」などと思っている方は部下に意識改革を求める前に、自身の意識を改革する方が先ではないでしょうか。リーダーとしてやるべき仕事の内容を確実に理解し、仕事としてやらなければならないことをキチッとやる。それこそが「上長の自覚」であり責任感だと思います。

 

( 平成271230日 )        Ⓒ 公認会計士 井出 事務所