話し合いの内容を形(文書)にする

 

 

 物事を着実に進めて行くには何事にも手順があります。それは、コンサルティングの仕事も例外ではありません。それが、業務改善のケースならば、 (解決すべき)問題点の洗い出し、整理、取りまとめ ② 問題点の絞込み(優先順位をつける) 改善テーマの決定及びその方法(手段)の検討・・といった基本的な流れ・シナリオがあります。無論、会社によって、これらのテーマが一度の議論で結論まで進むこともあれば、数度に及ぶこともあります。

  そのため、コンサルティングの現場では、必ず、毎回会議の議事録を作成します。その都度、話し合った内容が、メンバーの頭にシッカリと残っていないと次の話(テーマ)には繋がっていかないからです。

  ですから、いつも会議は、前月の振り返り、つまり前回の議事録の内容の確認からスタートします。例えば、上記、①のテーマであったならば、参加メンバー各自が現状の職場の問題点と思うこと。今の仕事のやり方・進め方に対する問題 等、これまでの議論の内容について共通認識が取れているかどうかをまず確認します。

     結論らしき内容にたどり着いたのか。まだまだ意見を出し合う余地があるのか。それは、その時の議論の進み具合によって変わってきます。前者であるなら、次の②のテーマに移って議論を進めます。また、後者のケースであるならば、前回に引き続き、①のテーマについて、さらに議論を深めていきます。それらの点を確かめてから、今回のテーマの議論を進めます。

   何故、議事録を取るのかというと、話合いを次のステップへ前進させるためには、話が後戻りしないように、ひとつひとつ足場を固めながら進めることが大切だからです。つまり、今回の議論の叩き台になるのが、前回までの議事録なのです。

  

ところが、多くの会社でよく見受けられることですが、会議やミーティングの場で、話合いのテーマやその内容に関する資料を配るという習慣があまりありません。また、会議の議事録を取らないことも少なくありません。

だから、話し合った内容の記録(議事録)を後でメンバー全員に渡すことができません。

   なかなか職場の問題解決や業務改善が思うように進まない原因のひとつは、このようなメンバーの記憶部下の意識に頼った仕事の進め方だと思います。それでは「話の行き違い」や「議論の空回り」といったことが、いつ起きても不思議ではありません。

  「情報共有し共通認識を得る」と一言で言うのは簡単ですが。その場での言葉や口頭だけの話では伝わらないことは沢山あります。会議の場での意見や発言・言葉は、録音しない限りその場で直ぐに消えてしまいます。折角、話し合ったこと(内容)が後に残りません。だからこそ、その内容を、確実にメンバーの共通認識にするためのツール(手段)が必要になるのです。

    人間誰しも、聞いたことよりも見たことの方を覚えているものです。話し合いの議事録は、各自がその内容を、忘れないようにする手段、いつでも確かめられるツールと言っても良いでしょう。

 

仕事の出来る人は、会議の前にこれまでの話し合いの流を、今一度確かめるものです。取り分け、重要な案件については、先回の議事録に目を通し頭の中を整理してから議論の場に臨みます。

   そこまでの高い意識を、メンバー全員に求めるのは難しいにしても、一人ひとりの記憶をベースにして話を進めるのと、議事録のような文書をたたき台にして議論を進めるのでは、その効果に大きな差が出て来ます。

 

特に、これまでの仕事の流れとは異なる「何か(仕事のやり方)を変えていこう。新しいことにチャレンジしよう」といった動きの場合、問題点への共通理解やそれを解決しようとする目的意識といった強い共通認識がメンバー間に求められます。

    共通認識を得ること。それは、ある意味、その内容をメンバー全員に周知徹底することに他なりません。そのためには、皆が気持ちをひとつにして取組むべきことを衆目一致の事実として明らかにすることが大切です。全員が持つべき共通認識を形(文書)にすることが欠かせません。即ち「見えるか(可視化)」することです。 

 

組織的に物事を進めるには、メンバーの記憶に頼るのではなく、話合いのテーマ・議題や議事録といった文書(記録)にして伝えることが極めて重要です。職場の問題解決や現場のレベルアップ、業務改善が、いつも上司の掛け声だけで終わってしまうのは、このような極めて当たり前のことが出来ていないからではないでしょうか。

  

( 平成30319日 )       Ⓒ 公認会計士 井出事務所

 

 

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