課題(チャレンジテーマ)と「目標」 (自部署のテーマ設定 6)

 

もうひとつ自部署のテーマ設定で取り違えてはならないことは「課題」と「目標」の意味合いです。目標さえ明確であれば課題であるテーマは必要ないと考える会社があります。

典型的に誤解されるケースが、数値による目標設定です。例えば、営業なら売上目標20億、商品企画なら新商品を3アイテム、生産部門なら2割のコストダウンというような目標を掲げることです。

確かに、数値目標は達成しなければならない目標として極めて具体的かつ客観的です。ところが、長い眼で見ると、それだけでは上手く行きません。そこには、実は様々な弊害があるからです。

 

その典型的なケースは営業に見られます。営業の場合、数値目標さえ決めておけば、テーマ設定は特別必要ないと思い込んでいる上司の方は多いと思います。それは、目先の売上目標の達成だけが部署の最重要事項と考えているからです。予算管理を経営の根幹に据えている会社にありがちな傾向です。

しかしながら、既存顧客に従来商品を押し込で行くだけで、実績を伸ばせるようなビジネスは極めて数少ないと思います。一口に売上目標の達成と言っても実際には様々な要因が絡んでいます。新規顧客でそれを達成するのか、既存顧客で達成するのかでは営業の仕事の意味合いややり方が違います。

売上目標を既存商品で達成するのか、新商品でクリアーするのかでも、その意味合いが違ってきます。

それ故、そこに会社としての方針なり、どのようにして与えられた営業目標を達成するのか、営業としての戦略(課題・テーマ)があって然るべきです。

どの営業先(重点顧客)軸にして数字を取っていくのか、細かな営業戦略を立てることが欠かせません。まさに、これらのチャレンジテーマこそ、営業部門の「課題」になることだと思います。そして、このような営業としての最重要テーマ「戦略テーマ」の内容を明らかにすることが上司の役割だと思います。

今のように、ビジネスのスピードが速い時代、即ちトレンドの変化の激しい時代は、商売そのもののやり方をドンドン変えていかなければ通用しない時代です。ですから、ただ目先の数字だけを毎年追いかけるような営業方針ではビジネスの方向性が定まりません。営業戦略は将来を見据えて、会社としての方針を示し、かつ重点的に取り組まないと、その成功は難しいでしょう。

人の世に世代交代があるのと同じく、ビジネスにも世代交代があることを忘れてはなりません。「会社を育てる、ビジネスを育む」という言葉があるように商売は一朝一夕には進みません。ビジネスにも未来への種まきが必要です。

 

ところが、会社としての戦略を持たないまま、営業戦略を担当者任せにしている会社は少なくありません。目標を達成するためには「現場は何をしても良い」という訳にはいきません。担当者では判断しかねる。現場任せにしていては、埒の空かないことが沢山あるからです。だから営業戦略(重点テーマ)がハッキリしないと、会社の本来の思惑と違った方向に行ってしまう可能性があります。

 担当者任せ、部下任せの営業は、時には結果オーライになることもありますが、それでは限界があります。売上目標オンリーの「予算第一主義型の経営」だけでは、将来的に行き詰まってしまうのがこれまでの多く実情です。 

 奇しくも、一昨日、15()の日経新聞にて「半導体興亡史」という記事が掲載されていました。その中に日立の予算主義の話が出てきますが、それをご参考にしていただいて、本コラムの内容をご検討いただけると有難いと思います。

 

 最後に、営業部門における「課題であるテーマ(戦略)」と「目標」の関係についてまとめておきます。この二つは必要条件と十分条件のような表裏一体の関係にあります。将来の状況を見つつ、年間の売上目標を達成するには「新規開拓、新分野進出、新商品」といった、いくつかのテーマを設けることが求められます。それが、必要条件としての「課題(戦略・テーマ)」です。

 一方、その課題を達成するための「十分条件」つまり達成基準を示すことも必要です。個々の「課題(テーマ)」に目標を設定する狙いがそこにあります。

 

その会社の状況によって、課題と目標のどちらが必要条件で十分条件になるかは異なります。いずれが先かと言う問題は、鶏が先か卵が先かという問題と同じで、ある意味不毛な議論です。要は、自社の実情に当てはめて考えるべき問題だと思います。

 

 ( 平成2617日 )         ©公認会計士 井出事務所